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アスリートと共に
('08.08.05)
プロフィール

大友 勇太
藤田整形外科スポーツクリニック トレーナー


アスリートと共に

秋田県出身、中京大学体育学部を卒業後、ワシントンナショナルズでインターンを経験。
その後、大阪を中心に接骨院、子どもの運動教室、パーソナルトレーニングなど様々な場所で活動し、現在は神戸の須磨にあるクリニックでリハビリ、パーソナルトレーニングを担当。


まず始めに、今回のコラムは、私が大学でトレーニングの勉強を始め、大学時代は主にパーソナルトレーニングを、卒業後は現在のクリニックでリハビリをサポートさせていただいた今までの5年間の中で出会った、スポーツを愛する、下は小学生から、上は80歳を超えるご年配の「アスリート」の方々から教えてもらった考えですので、絶対的なものではありません。しかし、読んでくださる方の何らかのきっかけになれればという想いで書かせていただきます。最後までお付き合いいただけたらと思います。

私、大友勇太は、「自分自身という人間をとことんまで高めていきたい」と考えています。そのために、いろんな本を読んだり、人と出会って話をしたり、旅をしてみたりもしています。そういう意味で、様々な方々とのトレーニングは特別に自分を高めてくれているものです。もちろん自分を高めるためだけに一緒にトレーニングをさせてもらっているわけではないのですが、相手のことを考えて考えて考え抜くことが、究極には自分を考えることになり、結果的に高めてくれているのだと思います。
今まで、何度も何度も失敗を繰り返し、でもなんとかしたくて一緒に悩み、ちょっとうまくいって涙し、笑い、成長させてもらいました。本当に今まで出会ったすべてのアスリートの方々に感謝しています。

とりわけ、その中でも高い競技レベルを求めているアスリートとのトレーニングは、とてもシビアで、ハードでしたが、その一つ一つがしっかりと私の中に刻まれています。
私が今まで出会ったアスリートは、他人に勝つことはもちろんなのですが、自分自身、もっと言えば、身体の理想的な扱い方を追い求めている人が多いです。私自身も、人の身体を相手にさせてもらう職業ですので、同じようなものを求めています。それを、彼らは自分の競技の中で、私はトレーニングサポートの中で追求しています。
そんな私とアスリートが出会い、トレーニングを始める前に、まず最初に私がすることは、納得いくまで相手と話すことです。相手を何を考えていて、何を求めているのかを聞きます。「どんな動作がほしいのか?」に対して、かなり具体的なことまで言える人もいますし、まだあやふやで暗黙知のような状態の人もいます。それを様々な会話を通し聞き出します。
それをなんとなく私がイメージできる段階まで聞き出せたら、次は、私がトレーニングのプロとして、そのイメージした動作を修正したり、違う可能性を提案してみたり、よくディスカッションをします。そのディスカッションで、二人のイメージが絡み合い、初期イメージのずれが少しずつなくなっていき、最終的にはピタッと重なり合い1つのイメージに練り上げられます。

そのイメージを、その段階での仮説として、イメージを達成するにはどんなトレーニングをすればいいのか設計図を考えます。そして実際にトレーニングを実践し、期待した結果と現実の結果とのずれを検証します、「なぜずれたのか?」と。そして必要ならば設計図を修正し、また実践し、再び検証と、ひたすらそのサイクルを繰り返していきます。最初の設計図通りにうまくいくことなんてまずありません。トライ&エラーしかありません。ちなみに、私とアスリートのイメージが究極まで重なり、それに対しての理想のトレーニングができると、例えばバスケ選手なら、ただのスクワット動作が、シュートしているように見えることがあります。試合用のユニフォームを着て、コートに立ち、観客もいるという映像まで見えます。ここまで来ると、トレーニングがパフォーマンスに結びついたのだと実感をもてます。

hujita.jpgそんな私も、大学の勉強をし始めた頃は、いろんな本を読んで勉強し、そして本に書かれている通りにトレーニングを実践しました。それしか頼りになるものはなかったからです。
しかし、求めている結果を得ることはできませんでした。「何で本に書かれている通りにやっているのに...」と、とても悔しく歯がゆい思いをしました。それがずっと続きました。
そんなときでも、厳しく、強く、そして優しいアスリートはそばにいて、いっしょにがんばってくれました。そんなアスリートのために「なんとかしたい!」という想いだけで、歯を食いしばってがんばりました。そうやって少しずつですが、結果が出てくるようになってきたのです。

何も本に書いていることが間違っているのだと言いたいわけではありません。もう一度同じ状況に置かれても、まずは同じような勉強をするでしょうし、今でも様々な本を読んでインスピレーションを得ています。しっかりとした型があっての型破りですから、自分の中に型をつくるという意味では、基礎的な勉強は必須だと思います。
でもそこで終わってしまうのではなく、相手は生身の人間ですから、うまくいかなかった時に、それに対して「なぜうまくいかなかったのか?」をとことんまで考える。そこできちんとした答えが出なくてもいいので、相手のことを考えて、想って、一生懸命いろいろ考えて、そしてやってみる。その気持ちが大切なのだと思います。それを本はなかなか教えてはくれません。

私が思うに、素晴らしいトレーニング指導者は、私の知る範囲では、最初からすべてが見通せていて、効果的な最高のトレーニングプログラムを組んで、そしてその通りに実践し、結果を残しているわけではありません。最初から芸術的にはできないと思います。
自分自身のトライ&エラーの深みから、トレーニングプログラムを組み、そして現実をしっかりと見て、受け止め、そしてすぐに修正をできる方々がすばらしい指導者だと思います。
そのひたすらに続くトライ&エラーを支えるのが、「相手を想う気持ち」なんだと思います。

長々と書かせていただきましたが、まとめると、知識、技術はあとからいくらでもついてくるので、どれくらい相手を想う、そして自分のことも想える気持ちがあるのか。あとはトライ&エラーをひたすら繰り返すのみだと、私は思います。

最後に、私自身も、まだまだ自分自身の行きたい場所までの途中の段階です。今でも失敗だらけです。トレーニング指導者、そしてそれを目指すすべての方々が、それぞれの目の前の現実に対しての、最高のトレーニングができることを願っています。その形は一つではないと思います。100人いたら100通りの最高のトレーニングがあると思います。
もっともっとトレーニングは自由であっていいと考えています。

ありがとうございました。
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